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才能の研磨剤

才能の研磨剤_a0120949_4522020.jpg 先日、読売紙の「編集手帳」に面白いことが書かれていた。

 
 ~戦前、国語の浄化を目的にした団体がつくられ、佐藤春夫も会員に名を連ねた。永井荷風は日記に書いている。<佐藤春夫の詩が国語を浄化する力ありとは滑稽至極といふべし>~

 ~時は流れて戦後、佐藤が選考委員を務める芥川賞を石原慎太郎氏『太陽の季節』が受賞した。佐藤は選評に書いている。<この作者の美的節度の欠如を見て最も嫌悪を禁じ得なかった>~

 さらに時は流れて今、石原氏が芥川賞の選考委員を降りた。<今の作家は時代を反映していない><昔は新人賞の作品は面白かったけど、全体に(レベルが)下がってきたかな>~

才能の研磨剤_a0120949_452498.jpg ~荷風は佐藤を嗤(わら)い、佐藤は石原氏に眉をひそめ、石原氏は当節の若手作家に失望を隠さない。才能とはいつの世も、先輩たちの苦言と渋面のなかで磨かれていくものなのだろう~

 少し引用が長くなった。

 大切なのは、この時代の人たちは “先輩たちの苦言と渋面”に反発し、抗(あらが)いながらも、結局は受け入れる度量も持ち合わせていたのだろう。いくらできる人でも、自分一人では才能は磨かれないものだ。
才能の研磨剤_a0120949_4531110.jpg

by h-fuku101 | 2012-03-03 04:54 | Comments(0)

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