三つ峠の朝
朝6時4分、待ちに待った太陽が稜線に顔を出した。感動的な瞬間だ。
やがて、朝の陽射しは大気から雪を抱いた富士山の斜面へと移り、徐々に色を濃くしていく。
「染まれ、染まってくれ」。
ファインダーをのぞき込みながらも、気づけば声に出しているおやじ。だが、願いむなしく思うような紅富士を見ることができなかった。
「けさは天気が良すぎたようですね」は、山小屋の3代目オーナー。
「願わくば雲海をとまで思っていたんですが、うまくいかないものですね」。
朝食を終えて午前7時半。早々に山を下る。最初は、ツルツル、テカテカ氷にへっぴり腰で臨んだおやじだが、思った以上にアイゼンが利く。「おっ、いいぞ。あとは靴ひもやズボンのすそ、道の出っ張りなどにアイゼンを引っかけないように気をつけて、っと」。
冷え切った身体を麓の温泉で温めたことは言うまでもない。「あ~、至福のひとときだァ~」。
「見るのは月じゃなくって空の色と麓の灯りだよ」
“帰りがけの駄賃” とばかり、御坂峠近くの山道から
by h-fuku101 | 2017-02-27 06:40 | Comments(0)