朝日に輝く河津桜

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 朝5時半、旅館を出る。外はまだ暗い。

 東の空には三日月をひっくり返した形の月に一等星がくっつくように並んで浮かんでいる。天気はよさそうだ。道は、歩くに支障がないほどの灯りはあるが動物に襲われないとも限らない。念のためにヘッド・ライトを点け、ラジオのスイッチを入れる。

 午前6時を過ぎて東の空がオレンジ色に染まってきた。期待しているのは色づく富士山と河津桜とのコラボ。だが、花の咲き具合はイマイチで、富士山は待てど暮らせど色づいてくれない。おまけに薄いベールまでかかりだした。

 近所の人が散歩を楽しんでいる。花の下を勢いよく登っては降りて行く。

 「この時期の散歩はいいですね」
 「はいっ!」

 朝の日差しを受け桜たちが輝き出した。きれいだ。
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by h-fuku101 | 2014-02-28 06:00 | Comments(0)

松田山の麓(ふもと)で

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 夜、夕食に入った店の女将の話しに耳を傾ける。地元の人と話すと松田町の周辺事情がよくわかる。

 「松田山は、20年ほど前まではみかん山だったんですよ。ただ、耕作放棄地が徐々に増えましてね。で、町が植樹募金を始めたんです。さくらまつりは確か16回目でしょ?植樹から花が咲くまで4年ほどかかっているんですね」。

 「今夜のお泊りは〇〇旅館さんですか? 不謹慎ですが、東日本大震災のとき『あの旅館が倒れなかったんだから、私たちの家は大丈夫よね』なんて話してたんですよ。とにかく長くやっておられますね」。

 「息子が猟友会に入っているんですが、時々、町から鹿の駆除依頼があるんです。この近くでは寄(やどりき)、丹沢、日向薬師でしょうか。鹿肉のジャーキー召し上がります?」。

 夕食をしながらの会話は実に楽しいものになったが、この女将、実は同じ歳と判明。その途端、言葉使いが急にくだけた調子になった。

 店に置き忘れた手袋がその夜無事、届いたのは話しの効用か!?。
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by h-fuku101 | 2014-02-27 06:23 | Comments(0)

松田山のライト・アップ

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 松田山の河津桜が七分咲きになったと言う。「今までに撮ったことがない角度から狙ってみたいなぁ」と、ライト・アップから早朝に焦点を当てることにした。

 少し早く着き過ぎたようだ。次から次へと登ってくるシャトル・バスはいずれも超満員。バスが到着しない時間帯は自家用車がひっきりなしだ。一枚の写真も撮らないままに山を降り、鶴巻温泉「弘法の里湯」で時間待ちをするとしよう。

 午後5時半。ライト・アップがはじまった。1日に2回も山登りするほど若くない。駅前から乗ったシャトルは乗客がおやじただ1人。デラックス・バスに専属運転手付きなんて、尻がくすぐったくて落ち着かない。

 夜の山は昼間とは全然違い、人の姿を見るのがむずかしいほどだ。これなら落ち着いてシャッターを切ることができる。

 明日の朝は暗いうちから登ることにしよう。で、今夜は麓の旅館泊りだ。
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by h-fuku101 | 2014-02-26 10:41 | Comments(0)

“レジェンド” から

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 ソチの冬季五輪が終わった。

 日本のメダル数は8個。長野五輪につづき史上2位の好成績だと言う。そのほかにメダルが確実視され、個人的にも絶対に取らせてあげたいと思っていた選手たちもいるから、実質的にはこれまでにないほどレベルが高くなっているのだろう。

 ジャンプの葛西紀明選手が “レジェンド” と呼ばれている。意味がわからない。どうやらほめ言葉らしいが、せっかくの言葉も意味がわからないでは “意味がない” 。

 調べてみた。

 「伝説になる予感がする」「伝説になるような名声を成し遂げた人物」「名声や悪名ゆえに誇張されたり美化されたりしてあれこれ語られる人物」…と言う意味らしいが、いずれにしても、解説者自身、「レジェンドそのものにピタリと当てはまる日本語の単語はないような気がする」と言う。

 日本人が日本人を顕彰・称賛するのに適当な言葉がない。そんなさびしいことがあるか!確かに、究極の気持ちを言葉で十分に表すことはできないというならわかるが、世界に冠たる日本語の単語にないということはない。

 さてさて、誰が名付け親かは知らないが、 “レジェンド” と呼ぶ前にふさわしい日本語を探す努力をしてくれたんだろうか? 「私自身の国語力では適当な言葉が見当たらないので外国語でお茶を濁した」ではどうにも困るのである。
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by h-fuku101 | 2014-02-25 06:57 | Comments(0)

中国春蘭展から

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 季節は、多少の前後はあろうとも確実に、しかも正確にめぐっている。その変化を教え、象徴的に見せてくれているのが花たちだ。

 今年も寒いうちからロウバイがニホンズイセンとともに芳香を放ち、梅が香りにアクセントを付けている。そう言えば、今まであまり匂わないと思っていたツバキも、その林に入ると何とも言えずいい匂いを放っていることに気づいた。

 最近、寄る年波か、命の不思議を想う日が多くなった。

 輪廻する自然界の営みも総体的には変化がないが、それを構成する個々の単位では絶えず命の交代が行われている。花たちが放つこれらの香りも、彼らにすれば命を先につなぐ大きな役割を担っている。

 神代植物公園恒例の中国春蘭展が今年もまたはじまった。
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by h-fuku101 | 2014-02-24 06:46 | Comments(0)

童謡「たき火」のふるさとを訪ねて

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 前に童謡「たき火」のモデルになった垣根が中野区にあると書いた。あいにくカメラはないが、時間はあり余るほどある。「よしっ、訪ねてみよう」。

 西武新宿線を新井薬師駅で降りる。駅を出たところが「上高田」だから、そう遠くはなさそうだ。

 新井薬師周辺は、昔からの家と若い人たちが暮らすマンションとの “二極化” にあるようだ。「童謡の話しなど若い人にはわからないだろう」と見当をつけておばさんに聞く。

 「あの~、つかぬことを尋ねますが…」
 「はい…?」
 「童謡の『たき火』に詠みこまれた垣根が…」
 「あぁ、わかりますよ。少し方角が違うので…」

 教えられた道順に沿って歩くがわからなくなった。目の前の交番に入って聞くと、訳を察した中年のおまわりさんの顔が笑顔に変わった。2枚の地図と関係資料まで持ち出し懸命に道案内してくれる。地域を挙げて文化財を守ろうとしているかのようだ。

 垣根の一方は竹垣だがよく手入れされている。ぐるっとまわるとサザンカの垣根へと変わった。家は昔のまま保存され、いい趣(おもむき)をたたえている。郵便受箱に書かれた「郵便物は〇〇の方へお届けください」という文字を見たとき、現持ち主のこの垣根にかける心根の一端を見る想いがした。

 ほんのりと気持ちが温まる、こういう “訪ね歩き” は無性に楽しく、うれしい。
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by h-fuku101 | 2014-02-21 06:35 | Comments(0)

雪道でのこと

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 雪の朝、裏山にある枡形山城址から民家園を歩いた。

 こんな荒天でも同類の “物好き” はいるもので、先行人の足跡がうっすらと残っている。多分、歩いたのはそんなに前のことじゃないだろう。が、降りつづく雪がみるみるその気配を消していく。今は先行人の履歴を見る身も “明日は我が身” ってことか。

 昔、「雪の朝二の字二の字の下駄の跡」(田 捨女)という俳句があった。それももう本当に昔の話し。気づけば、哲学めいた思考のすぐ後で、自分が付けた足跡と先行人との靴裏模様を見比べっこしている自分がいる。
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by h-fuku101 | 2014-02-20 10:22 | Comments(0)

ドカ雪の後遺症

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 歩く公園はもっぱら昭和記念公園、神代植物公園、そして、新宿御苑。

 14日のドカ雪のおかげで少し弱くなった枝は折れ、今も地面に散らばっている。木々たちも、雪国育ちの強さはなく、思わぬ重みに耐えかねて力尽きたのだろう。

 ツバキを見ようと脇道に入った。工事をする車の車輪幅の雪が踏み固められてそのまま氷道になり、ツルツルと危ない。「ならば雪の残る道を」と思うが、これも何日か前に歩いた人の固くなった踏み跡をたどるしかなく、歩きにくい。

 この時期の公園歩きは普段の倍の体力を要するようで、腰がいつもの “注意信号” を発しつつある。
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by h-fuku101 | 2014-02-19 06:32 | Comments(0)

近づく “春の足音”

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 2週連続の雪には驚いた。

 「雪の法隆寺も捨てがたい」などとのん気なことを言っていたが、それも “ほどほどの雪” という前提があってのこと。特に、2回目は全国的で記録的な大雪。山梨県などは県をあげて “孤島化” する一方で、群馬県の軽井沢では立ち往生した車の運転手たちが避難民同然の生活を余儀なくされた。

 そう言えば、年末始に訪れた精進湖畔も日用品や食料品が届かず、あと1日分の食材しかなかったと聞く。明日からあさってにかけてまた雪模様になるとか。ドカ雪だけはなんとか避けて欲しい。

 そんな寒い日本列島にも春の足音は確実に近づいている。

 「あの黄色い花ってロウバイか?」と近寄ると、なんとマンサクだ。「では、あの赤いのは?」と寄ると、やっぱりマンサク。大好きなサンシュユも蕾(つぼみ)をいっぱいつけ始めている。

 ~~♪♪ は~るよこい は~やくこい
       あ~るき始めた ミ~ちゃんが ♪♪~~

 春が本当に早く来てほしいと思う気持ちと、その春を待ち望む今の季節をもう少し楽しみたいと思う気持ちが胸のなかでせめぎ合っている。
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by h-fuku101 | 2014-02-18 06:30 | Comments(0)

寺院めぐりの陰で

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 新幹線の足が乱れた。

 予約は新大阪駅午前11時発だったが、急な当麻寺、法隆寺行で午後1時発に変更した。ところがどうだ。写真を撮り終えて駅に戻ったのが正午。11時発の列車はまだ到着していない。

 「あ~、わかっていれば変えなかったのに…」。

 駅のアナウンスに耳をやる。「当駅始発に遅れはありませんが、博多方面からの列車は1時間程度遅れています」と言う。ここは “指定列車” にこだわることはない。ひかり号自由席に飛び乗った。

 米原~関ケ原の積雪は約15㎝で、名古屋到着の遅れは10分ほど。ところが、小田原~東京間で遅れ幅は1時間へと拡大した。特に、新横浜あたりは視界50mほどの吹雪状態。目は車窓にくぎ付けも、頭の中では「雪の上野寛永寺がいいかな? それとも泉岳寺?」などと不埒(ふらち)なことを考えている。

 新宿:但馬屋は長年の出張帰りの小休止場所。愛想もサービスも決していいとは言えないが、外の雪を融けさせるに十分な温かさと安心を与えてくれる。
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by h-fuku101 | 2014-02-17 07:03 | Comments(0)