出雲路の旅 第7話「茶室・寿立庵」

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和室八畳。秋は庭のモミジが鮮やかに色づくと言う


 足立美術館内にある「茶室・寿立庵」は、来館者のほとんどが立ち寄らないまま帰って行くが、いい。

 桂離宮の茶室・松琴亭のおもかげを写して建てられたもので、1981年(昭和56年)12月、裏千家家元千宗室ご夫妻を招いて茶室びらきが行われた。庵号の「寿立庵」は千家元の命名で、「足立美術館」の「立」の文字が使われていると言う。

 庵内には7つの部屋がある。全部が茶室ではないんだろうが、そのうちの「茶室・六畳台目」の壁は、京二条城に使われている「ほたる壁」。「茶室・三畳台目」の掛け軸には伊達正宗自筆の書状が掛けられていた。

 「写真を撮らせてもらってもいいですか?」
 「どうぞ、どうぞ。ごゆっくりお過ごしください」

 にぎわう美術館を後目に、しばし閑静で裕福な “時” を過ごした。
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掛け軸は伊達正宗自筆の書状(茶室・三畳台目)


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「茶室・六畳台目」の壁は二条城ゆかりの「ほたる壁」


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「取次の間」が持つ “風情” は、退室時に気づかされた

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by h-fuku101 | 2014-08-31 10:36 | Comments(0)

出雲路の旅 第6話「足立美術館」

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 「庭園もまた一幅の絵画である」――創設者で地元実業家の足立全康氏は、美術館づくりへの信念と情熱をこのひと言に集約しているが、今日、足立美術館の魅力を端的に表すとき、この言葉に勝る言葉はない。

 開館は昭和45年。それ以来、来館者を魅了し続ける名園と名画。約5万坪の土地に設けられた白砂青松庭、苔庭、池庭…の数々。「連続11年名園日本一」もダテではない。

 館内には、横山大観、竹内栖鳳、川合玉堂、橋本関雪、榊原紫峰、上村松園など近代日本画壇の巨匠たちの作品1500点を所蔵し、庭園の四季にあわせて年4回、展示替えを行っているとか。

 これら巨匠の作品とは別に、新館には「足立美術館賞」に輝いた絵画が展示されている。これらの作品群がまたすばらしい。壁一面に描かれた鶴、奈良当麻寺をモチーフにした絵…。しばし足を運ぶことすら忘れて立ちすくんでいた。

 安来市にある足立美術館は朝9時開館。この日も早々からたくさんの人たちが訪れていた。
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by h-fuku101 | 2014-08-30 05:37 | Comments(0)

出雲路の旅 第5話「日御碕」

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 日御碕(ひのみさき)。美保関(みほのせき)とともに来たこともないのに妙になつかしい。東京でその地名を聞くことはない。だから、耳にしたのは大阪時代。「いつ、どこで?」など思い出すよすがすらない。だが、「出雲はやっぱり関西圏なんだ」と思う瞬間だ。

 出雲大社からは指呼の距離。明治36年4月に初点灯されたという灯台から水平線を見ると、地球が丸いことがよくわかる。

 日御碕灯台は海面からの高さ63m。地上から灯火までは39m。すれ違うことができないラセン階段を一歩一歩登っていく。狭くて急だが、「日ごろ、地道に裏山散歩をしていてよかった」と思う。

 降りて、もう一度灯台を見上げる。空には、まるで灯台に指輪をはめようとするかのように日輪が浮かんでいる。それも3輪も…。出雲大社の近くで不謹慎との誹(そし)りを受けるかも知れないが、なぜかチャールトン・ヘストン主演「ベンハー」の一場面が脳裏をよぎった。
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by h-fuku101 | 2014-08-29 06:41 | Comments(0)

出雲路の旅 第4話「出雲大社」

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 朝3時半、目が覚めるとカミナリと雨の音。

 「雨だけならまだしも、カミナリ付きでは…」

 これで「夜が明けきらないうちに出雲大社へお参り」の計画を断念した。思い描いていたのは “朝の深閑とした空気と本殿” 。残念だ。

 出雲大社への到着は午前9時。心配したカミナリ雲は遠く過ぎ去り、今は青空さえ見えている。団体客の動きも速く、大鳥居前はもう記念写真を撮る参拝客でにぎわっている。

 「こうなれば、もう撮影旅行はあきらめよう」と、参詣道を400mほど戻る。 “4つある大鳥居を全部くぐってお参りすれば霊験新たか” と書かれた案内書に従順に従うことにした。

 参詣道の入口近くに建つ商工会館には「高円宮典子さま、千家国麿さん、ご結婚おめでとうございます」の垂れ幕が下がり、どの店々にも同じような貼り紙が掲出されている。

 そう、出雲大社は今、祝賀ムードに包まれている。
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by h-fuku101 | 2014-08-28 06:57 | Comments(0)

出雲路の旅 第3話「宍道湖の夕景」

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 美保関(みほのせき)から宍道湖(しんじこ)畔に戻り着いたのは午後6時過ぎ。旅館の夕食時間が迫っている。少し前から雲間から夕方の光が射し込み、いい雰囲気を醸(かも)し出しているが、どうにも気持ちが急いでいる。

 と、宍道湖に浮かぶ小さな島が目に飛び込んできた。斜光を背景に、嫁ケ島と呼ばれる島が描く点景は見事だ。食事時間などはもう頭から消え、気づけば一人のおじさんと湖畔へと急いでいた。

 「よく来られるんですか?」
 「はい、毎日ですよ」
 「この夕景が毎日みられるんですか? いいですねぇ」
 「この地下道の壁に、地元の者が撮った写真が掲示してあります。きょうは久しぶりにいい夕日が見られると思いますよ」
 「残念ですが、あまり長居できないんです」
 「そりゃ残念です」

 「宍道湖は、秋の夕日が一番きれいだと思います」と言ったのは、その日の夜、足つぼマッサージをしてくれた女性。「もう少しすると、湖畔にはハゼ釣りの竿(さお)が並びますよ。従兄弟たちが男ばかりだったので、私もいっしょになって竿を出したものです」。

 松江観光は、宍道湖の夕景だけで十分だ。
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by h-fuku101 | 2014-08-27 06:28 | Comments(0)

出雲路の旅 第2話「水木しげるロード」 

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 松江市から境港市までは途中、中海砂洲道や最近 “べた踏み坂” としてテレビCMにも登場するようになった “大橋” を通って50分くらい。この “べた踏み坂” 、渡り終わってから気づいたが、傾斜度は世界第3位だとか。

 境港市は水木しげるさんの故郷。今は調布市におられ、深大寺入口交差点にある洋菓子喫茶「Tom & Sam」 オーナーのお母さんの友だちとくれば、いくら漫画を見ないと言っても関心のないはずがない。

 たまたま滞在中、地元新聞コラムに「水木しげるロード」のことが取り上げられたので紹介する。

 ~泥棒でも経済活動に貢献すると言ったのは、マルクスである。(中略)水木しげるロードが繁盛しているのは「窃盗のおかげもかなりあった」というのは同市観光協会の舛田知身会長。水木しげるロードがオープンして間もないころ、妖怪ブロンズ像の盗難が相次いだ。ブロンズ像の一部が壊されて持ち去られたり、台座から全身がもぎ取られる被害も発生。そのたびに新聞やテレビで全国に報道され、来訪者はうなぎ上り。ニュースになるくらいの代物なら一度見ておきたいと災い転じて福のラッシュ~

 なんでも個性あふれる妖怪の面々と会える街道の年間来訪者は370万人で、境港市の人口の100倍以上にも上るらしい。

 「ゲゲゲの鬼太郎」など妖怪たちのブロンズ像は153体。親子連れや外国人観光客などで、人口密度は一挙に膨れ上がった。いゃぁ、いまだにすごい人気だ。
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by h-fuku101 | 2014-08-26 06:25 | Comments(0)

出雲路の旅 第1話 「大山」 

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中海越しに大山を望む。左に広がるのは日本海・美保湾


 今年の誕生旅行は、松江~境港~出雲(いずも)をめぐる2泊3日「出雲路の旅」に決めた。境港や大山(だいせん・1729m)は鳥取県だから厳密には出雲じゃないが、県民の方々の想いは別に、「そんな固いことは、まっ、いいか」。

 「普通の旅行者は枕木山(456m)には行きませんよ」。

 その日の夜に初めてかかった足つぼマッサージの女性から聞いた話しだが、松江への車中から見た大山があまりにも感動的だったので、「それをよく見よう」と登った次第。

 県の最北東にある枕木山。今は手入れがほとんど行き届いていない華蔵寺(けぞうじ)の境内にある展望台から中海を経て大山が望める。天気予報では絶対に見られるはずがなかった大山だが、なぜか予報がいい方に変わってくれている。

 岩木富士(岩木山)、南部富士(岩手山)、近江富士(三上山)、薩摩富士(開聞岳)、そして、本物の富士山と伯耆富士(ほうきふじ・大山)…。地元で “富士” と呼ばれている山にもずいぶん出合った。大山。本当にいい。
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美保関(みほのせき)はなぜか子供の頃によく聞いた地名。今、その地から伯耆富士を仰ぐ


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by h-fuku101 | 2014-08-25 06:29 | Comments(0)

うれしい出来事

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 昨夜、うれしい出来事があった。

 スマホが鳴った。メールかと思ったがさにあらず。さりとて電話の着信音でもない。どうやらfacebookの、それも「Messenger」なるものらしいが、訳がわからない。

 そもそもfacebookは、主に娘や息子の “限定版” を見る以外、使うことはない。が、昨夜は、本能的に「これは何かある!」と感じた。機械に導かれるままにダウンロードすると携帯電話と同じような画面。なんと8~9年前から “行方知れず” だった韓国のチョンさんのなつかしい声が届いた。

 「おまえ、まだ生きてたんか!?」の第一声を送った。声が隣で話しているように近いが、それだけに風邪を引いたようにかすれた声がリアルだ。「ただ喉が痛いだけ」と言う。酒もたばこも生活習慣も相変わらずなんだろう。

 あわてて電話番号を聞くのを忘れた。「まぁ、8年以上も連絡がなかったことを思えば1~2年くらいどうってことないか!?」

 とにかく元気でいてくれたのがうれしい。
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※今週はここまで。来週またお会いしましょう。

by h-fuku101 | 2014-08-20 08:24 | Comments(0)

やっぱり相撲が熱い

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 大相撲9月場所のチケットをゲットした。同郷力士豪栄道が大関に昇進して初めての場所だけに、「ここは応援に行かなくては」と買った。ただ、本人は「ひざをケガして稽古ができない」と言う。気がかりだ。

 ネット予約したのは1か月ほど前だったか!? その時点でタマリ席やマス席はほとんど埋まっていた。 “相撲人気がすごい” というのはわかっていたが、「これほどまでとは…」とその人気ぶりを目の当たりにした感がした。

 昨夜、改めて予約状況を調べてみた。場所中に3日ある日曜日は全館満席。土曜日も同じ。では平日は? マス席Cに少しと2階イス席にアキがある程度だ。故二所ノ関理事長は、野球賭博と暴力団との癒着問題に揺れ動いた角界再建にまい進されたが、心のどこかに今日の繁栄を思い描いておられたからこそ頑張り切れたのかも知れない。

 人気力士遠藤の “お姫様抱っこ” ――の気分を味わえる顔出しパネルがあると言う。遠藤への声援と勝ったあとのおばさんフアンのリアクションは、あのNHKが大写しするほど、半端じゃない。女性フアンが相撲人気をささえているのもまちがいない。

 いゃァ、やっぱり相撲が熱い。
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by h-fuku101 | 2014-08-19 06:42 | Comments(0)

向学心の対極

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 開園後まもない神代植物公園。行く先々で小さなグループが勉強しているらしい光景に出くわす。

 みんな一様に筆記用具を持ち、熱心にメモを取っている。どうやら公園のボランティア案内を希望する人たちが、先輩から花々の特徴などを一つひとつ学んでいるようだ。写真を撮る手をしばし休め、話しに聴き入る。いい勉強になる。

 そう言えば、「この夏は東京のC大でスクーリングです」と便りしてきた大阪の “自転車やろう” もいた。何歳になろうと向学心旺盛な人はいるもんだ。「少し爪の垢でも分けて欲しい」などと言いつつも、実は気持ちの底からそうなれない自分がいる。

 一方で、「道頓堀名物の5代目グリコ看板が最後の点灯」などと言う、他愛のない “大阪メッセージ” に過剰に反応しているバカも捨てたもんじゃァないと思う。

 要するに、バカは死ななきゃ治らないってか!? 
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by h-fuku101 | 2014-08-18 06:57 | Comments(0)