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山吹


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 七重八重 花は咲けども山吹の 実のひとつだになきぞ悲しき

 京都嵯峨野に落柿舎(らくししゃ)という庵(いおり)があり、この壁に今でも蓑(みの)と笠が掛けられている。昔、確かこの庵の前で冒頭の歌を聞き、そのいわれを教えてもらった。

 毎年、山吹の花が咲くとこの歌を思い出す。いわれは、旅人が折りから降り出した雨を避けるために「蓑を貸して欲しい」と頼む。が、貧しい家人は、この歌に山吹の一枝を添えてそれを断るというものだ。

 山吹は毎年、4月過ぎに花を付け、7月頃に実を結ぶ。蓑を所望されたときは多分、実を結ぶ前だったんだろう。単に「蓑」と「実の」をかけただけとは言えない、深い趣(おもむ)きを感じさせる一首ではある。

by h-fuku101 | 2010-03-26 06:35 | Comments(0)

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