念願の奥入瀬渓流 その1
八甲田の懐(ふところ)は深い、とにかく深い。
ロープウェー駅から始まった下り道。ナビは ”奥入瀬渓流まで17㎞” と表示しているが、走っても走っても景色は変わらない。気づけば随分前からブナ林が展開し、今も鮮やかな緑と整然と並ぶ幹が目を休めてくれる。
城ヶ倉温泉、酸ヶ湯、猿倉温泉、蔦(つた)温泉を通過した。いずれも一度は耳にしたことがある温泉ばかりで、のんびり湯めぐりもいいが、今は空腹を満たす食事処があって欲しい。だが、ない。そうこうするうちに奥入瀬渓流域に入ってしまった。
頭が混乱している。
「奥入瀬には来たことがない。だが、十和田湖には来たことがある。ここまで来て奥入瀬に立ち寄らないってことがあるか?」。ボケた記憶の糸を懸命にたぐり寄せる。「あっ、そうか! 十和田湖は『乙女の像』、田沢湖は『たつこ像』か!」。来たことがあるのは秋田県の田沢湖だった。
ともかく、念願の奥入瀬渓流に今、立った。
by h-fuku101 | 2016-09-23 06:45 | Comments(0)